能登半島地震災害巡検(その4)

日本応用地質学会の能登半島地震調査団報告会の後,1泊2日の4回目の能登半島の調査を行いました.とはいっても,今回は主要な被災地を巡検するのが目的です.同行者には,千木良雅弘 京都大学名誉教授,長田昌彦 埼玉大学教授,徳永朋祥 東京大学教授と一緒でした.徳永先生は,現日本応用地質学会の会長,長田先生は前会長,千木良先生は4代前の会長ですので,非常に勉強になる巡検となりました.

今回は,能登空港~珠洲市内~見附島~大谷トンネル~大谷ループ橋~逢坂TN付近~三ッ浜~輪島市内(宿泊)~小石浜地すべり~門前・鹿磯漁港~門前町深見のトップリング崩壊~穴水市由比ヶ丘~内灘~かほく市というルートでした.

既に多くの情報があるのと,今回ばかりは災害後1年が経過して,少しづつ復興の兆しが確認することができました.大きな点ではのと里山海道が,上下線とも復旧しました.ただし,補修はあくまで仮設で大きくまがるカーブや起伏は残ったままです.それでも上下線の復旧は,被害に少しでも多くの資材を送ることができます.インフラでもやはり道路は非常に重要であることがわかります.

各地で十分でないとはいえ,仮設住宅も多く確認できました.覆工は,まだ遠い道ですが,輪島市の火災地跡の更地化や主要道路沿いの家屋の撤収なども進んでいました.また,一本主要道から中に入れば,複合災害となった9月の土石流による倒壊家屋がそのままになっています.

また,今回は初めて訪れた穴水市由比ヶ丘の地すべりとこれに伴う表層崩壊地は,土砂災害警戒区域(イエローゾーン),土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)から外れた場所で発生し,16名の尊い命がなくなっています.この崩壊は,背後の大きな斜面を含めた地すべりの滑動によるもので,公刊資料が完全なものではないことを示しています.これは批判ではなく,自然科学的に予測することができないことを,私たちは受け入れなければなりません.

すなわち,防災情報は「与えられるだけ」ではなく,自ら「得る」ことが重要です.今後気象変動により,これまでの自然災害予測の引き金の頻度は増していくと考えられます.能登の災害の多くを,自分たちに当てはまるかよく考えて行動する時代がきていると強く感じました.

(1)珠洲市内~見附島

(2)大谷ループ橋周辺地すべりは,湧水が増加していました.

(3)逢坂TN付近:逢坂トンネル周辺は仮設道路が復旧しています.このため逢坂トンネル地すべりの裏側の地質構造を確認することができます.

(5)曽々木海岸の三ッ浜で見られる興味深いコンクリーション(?)

(6)小石浜地すべりの背後斜面の地すべり移動体内の露頭.新しい時代の堆積物が傾斜しており,亀裂に崖錐堆積物の流入(あるいは液状化した物質の貫入?)が見られます.また地すべり上位のグラウンドにも亀裂が発達していて,その大きさを感じます.
末端部の擁壁には段差ができていますが,最も大きな変位を生じている箇所には消波ブロックに亀裂が入っています.相当な力がかかったのであると想像できます.

(7)門前町深見のトップリング崩壊:写真には載せていませんが,門前町深見では2024年9月の土石流の爪痕が残っており,見ていてもつらい状況でした.

(8)穴水市由比ヶ丘:16人犠牲となった斜面崩壊,大変な悲劇です.このような悲劇を繰り返さないような予防はあると思っています.斜面崩壊は大きな地すべりの末端崩壊だと思われます.上位のグラウンドには亀裂が発達し,地質調査のボーリングがなされて,観測が行われているようです.

コメントを残す