(公社)日本地すべり学会東北支部「2025 年度 第41 回定時総会・第1 回講演会研究発表会・意見交換会」に参加しました.ありがたくも,「AI 時代に改めて考えたい地質・土木分野における情報技術のまとい方」というタイトルで,1時間話をさせていただきました. 少々緩いテーマですが,事前に助言をいただき,講演しました.
注意点は以下の通りです.
① 中堅以上の技術者:AIや統計解析のベースとなる,自然現象の理解,現場の見立てや,AIに与えるべき「良質な教師データ」が重要であることを確認できる
②若い技術者:変動ベクトル解析・三次元点群の解析手法にも触れていただき,チャレンジしてみようと思う機会になる
③災害伝承などとAI等のこれからの技術が結びつく話題は,津波をはじめとする伝承に敏感な東北メンバーにも興味を持てる
話題1.AIの活用とデータ取得の重要性 現在,様々な情報は幅広く普及し,身近な道具として欠かすことができません.自分の専門分野において,数値情報を上手に扱うと同時にその結果を言語化することは技術者として重要です.特に土木地質分野において観測データは,対象の理解や予測に役立ちますが,歪み(バイアス)が生じる可能性があり,質の高いデータを取得する事が必要です.情報工学では,「Garbage in, garbage out(ごみを入れれば,ゴミが出てくる)」という言葉が有名です.いかに優れた分析手法であっても,分析対象となるデータの質が悪ければ,出てきた結果も役に立たなくなります.例えば,誤差には偶然誤差と系統誤差があり,これらを分解・補正することで信頼性を向上させることができます. AI活用には適切なデータ取得と処理が不可欠なのです.
話題2.三次元点群の解析の紹介
レーザ計測技術の進歩により,三次元点群データが身近になりました.一方で,その取得方法や解析方法の選択が重要を理解せずに解析しないと,ただ計測するだけになってしまいます.固定型レーザスキャナ,車両搭載型,航空機搭載型など,様々な計測方法がありますが,精度と目的によって,それぞれに適した計測計測や精度に合わせた立案が必要です.例えば,点群データの処理手順として,計測作業からノイズ除去,フィルタリング,グリッド処理,メッシュデータ作成,解析図作成,主題図作成までの一連の流れはご存じでしょうか? さらに,変位計測や災害時の形状把握における点群データの活用は今後も積極的に行われると思いますが,裏側のデータが取得できない,角に当たりにくいなどの課題もあります.点群データの精度に関する要素や,岩盤崩壊の計測事例,変動ベクトル解析など,具体的な事例を通じて,三次元点群データ解析の可能性と限界を説明します.
話題3.先人の知恵を生かす(過去から学べること)
本章では,過去の災害事例から得られた教訓を,AI時代においても活用することの重要性を説明します.その具体例として,2021年の茅野市高部地区における土砂災害を取り上げ,死者ゼロという結果が,地域住民が古老から受け継いだ「川がゴロゴロいう」「川からにおいがする」といった前兆現象の知識に基づいた早期避難行動によって達成されたことを紹介します.これらの住民の知識を数値化するセンサー類の組み合わせに加えて,長期計測(Long Term Measurement)とAIによる異常値検出を行うことで災害予測の精度向上が期待できると考えます.地域の知識を専門知識でフォローし,常時微動の解析や水位モニタリングなどの最新技術を活用することで,より効果的な災害対策を講じることが可能になります.




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